認知症患者を看護する際の注意点

平均寿命が世界の中でも高く高齢者の人口比率が増えている日本では、心身状態の機能が低下して入院する高齢者は多いです。
そして高齢者の割合が増えている中、認知症を発症する人も増えています。
看護師は医療機関の中において患者と接する時間が最も長く、医療処置をはじめさまざまな対応を行っています。
特に入院病棟では、24時間体制で必要な治療や対応が行われています。

認知症状を抱えた患者の看護を行う際は、その症状を専門的に理解した上で対応する必要があります。
アルツハイマー型や脳血管性認知症など、その原因や現れる症状には違いがありますが、一般的に見当識障害や理解力の低下などが顕著に表れてきます。
例えば、大怪我や手術の後などで安静が絶対に必要であっても、その認識が無いため動いてしまう可能性があります。
また、認知症状を抱えた患者は骨折していてもその部位を動かしてしまう場合もあるため、病状などが悪化しないよう安全面に配慮した対応が求められます。

怪我や病気の治療に関しては、患者自らが痛みやその症状を医師に伝えることが必要不可欠です。
しかし、認知症患者はコミュニケーション能力が低下している場合も多く、自ら体調の変化や不調を訴えることが難しい状況にあります。
そのため痛みや病状が悪化していても、発見が遅くなる可能性もあります。
認知症患者の看護を行う際には、日々の様子をこまめに観察しながら変化を早期に見つけることが大切です。
バイタル測定や排泄管理なども徹底し、身体の状態を医療的な見地から管理しておくことが求められます。

このように、深刻化する高齢化社会においてスムーズに医療が行われるためには、看護師が認知症の専門性を正しく理解することが必要不可欠です。